Reported by
らくだマーケティング株式会社
松尾 聡史 さん
ウガンダにおけるSDGsの活動とは
一人あたりのGDPが2000ドル余り(2018年)、IMF(国際通貨基金)より最貧国として扱われているウガンダ。ウガンダに対してモノを輸出する、現地で事業を起こすと自体がSDGsといってよいでしょう。
モノが足りないところに、モノを持っていく。技術が未熟なところに、先進国の技術を提供する。インフラがないところに、インフラを整備する。
こうした活動により雇用が生まれ、経済が活発化し、国が豊かになるといった貧困から脱却できる仕組みにつながります。
SDGsの目標達成にもっとも必要なことは自立と継続
SDGsには「サスティナブル」という言葉があります。持続可能という訳がついていますが、その定義がとても難しいと感じます。
ウガンダだけにかかわらず、アフリカの貧しい国全体にも言えることですが、現地の人たちは、経済・技術支援を受けることに慣れてしまっているという話をよく耳にします。
ウガンダで働く日本人は、ウガンダ人に対し、「努力しない」「勉強しない」「お金が支給されるのを待っている」と現地の状況に不満を漏らすこともあります。支援されることに慣れてしまい、自分から貧困から脱却しようとしていないという問題があるということです。
一方で、ウガンダ人に話を聞くと、「インフラ事業にお金を落としても、外国人ばかり儲けて自分たちには全く還元されない。」と言われることがあり、雇用する側にも問題があると感じます。ビジネスを優先するあまり現地に寄り添うことを軽視しているのかもしれません。現地の発展のために高額な医療機器を提供しても、使い方がわからず、ほこりをかぶっているなどよくあることです。
SDGsの目標を達成するために必要なことは、ウガンダ人が自立し、各プロジェクトを自分自身のものとして遂行し続ける、ということだと私は考えます。それが真の意味の「サスティナブル」ということでしょう。
ブライトスターズが教えてくれた、「サスティナブル」のあるべき姿
ウガンダでは、ブライトスターズというプロサッカーチームがあります。本田圭佑選手が実質オーナーのSOLTILOという会社が運営しています。
ウガンダではサッカーが盛んで、ウガンダ人はヨーロッパのリーグをネットでよく見ています。ウガンダに訪問しているとき、私が日本人だとわかると、「トヨタ」「レクサス」という言葉と共に、「ホンダ」「カガワ」と声をかけられました。
SOLTILOとその協賛企業は、スポンサードという金銭での支援と共に、サッカー教室を運営しています。サッカーの楽しさをウガンダの子どもたちに教えるとともに、ルールを守る大切さ、協力する精神を実感してもらうという素晴らしい機会を提供しています。
そして、この事業がウガンダ人に与える最も大きな影響は、サッカーを頑張れば貧困から脱却できるという、身近な事例を提供していることではないかと思います。
この事業を継続することで、ウガンダの子どもたちがサッカーに目覚め、それを職業とすることを夢見て、意欲的に自身の人生をつくっていく。長期戦ではありますが、地域に根差した事業だと思います。
ウガンダ人は、身体能力が高く、スポーツ事業として採算がとれるプロジェクトだという目論見はもちろんあるとは思います。しかし、お金儲けだけではない、ボランティア精神だけではない、ウガンダ人が喜んで参加する、これを続けることが「サスティナブル」なのではないかと、実際に現地で感じました。
もちろん、SDGsの目的は壮大なもので、人類の発展や平和を分業し、大きな目標を達成することが最大の目標です。SDGsはその意味合いを整理するための行動指針なのですが、「SDGs=ボランティア」というふうに受け取ってしまわれることも多いのが実情です。
SDGsの説明をすると、動機の不純さを指摘されることもあります。しかし、SOLTILOのプロジェクトを追っていくと、実際に目の前でウガンダの子どもたちが懸命にボールを追いかけているのが見えてきます。この子どもたちの努力は、大好きなサッカーをしながら、周りの人たちと豊かな人生を送る未来につながるように思います。
私がウガンダで見たものは、SDGsの精神と行動が結びついた理想の姿でした。
世界中の人が自らSDGsに賛同し、世界の一市民としての自覚をもつことがSDGsの第一歩とするならば、ウガンダのブライトスターズの活動を見てもらうことこそ、よい機会になるのではないかと思っています。