40代27.6%、10代52.7%。中高生と親世代のSDGs認知度格差を考える

Reported by
株式会社カケハシ スカイソリューションズ
テクノロジー事業部
箱崎 修一 さん

他年代と比べてSDGsの認知度が高い10代

 SDGsについて調べていく過程で、なにげなく家族に「SDGs」という言葉を発したときのことです。娘たちが「SDGs」という言葉に真っ先に反応しました。

高校生の長女も中学生の次女も学校で習ったそうです。この時、娘たちがSDGsを知っていることにまず驚きました。同時に、どれぐらい子どもたち世代に浸透しているのだろうという疑問も湧いてきました。

そこで、実際にどのぐらいの中高生がSDGsを知っているのか、調べてみることにしました。カンコー学生服で有名な菅公学生服株式会社は、2019年7月に10代~60代までの男女1,800人を対象にSDGsの認知度調査を実施し、結果を年代別に集計してHPに掲載しています。

この調査結果によると、「SDGsという言葉を知っているか」という質問に、「知っている」もしくは「言葉は聞いたことがあるが内容は知らない」と答えた人が10代は52.7%と、他年代と比較してもっとも高いという結果に。一方で私と同世代にあたる40代は27.6%と、もっとも低いという結果でした。

この調査結果を見る限り、学校でなんらかのSGDsに関する取り組み・説明がおこなわれていることで、ある程度認知されているのだと推測されます。

では、教育現場では具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。

教育現場で推し進められてきたESD「持続可能な開発のための教育」

教育現場ではSDGsが採択されるよりも前からESDに基づいた取り組みが進められてきました。

ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。2005年に国連での決定後、ユネスコ主導で進められている取り組みです。

ESDでは以下6つの力を育むことを目標としています。

ESDで育みたい力

  1. 持続可能な開発に関する価値観 (人間の尊重、多様性の尊重、非排他性、機会均等、環境の尊重等)
  2. 体系的な思考力(問題や現象の背景の理解、多面的かつ総合的なものの見方)
  3. 代替案の思考力(批判力)
  4. データや情報の分析能力
  5. コミュニケーション能力
  6. リーダーシップの向上

ユネスコは2015年よりSDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」をESDと同意義とし、今後もESDを推し進めていくことでSDGsの他の目標達成に向けた人材育成に貢献できると考えています。

こうした動きについて、ESDに積極的なユネスコスクールである江東区の八名川中学校元校長・手島氏は、現場レベルでSDGsとESDの混在にやや混乱したことを明かしています。一生懸命ESDに取り組む中、あとから急にSDGsが出てきて、具体的にどうすればいいのかがわかりにくくなってしまったというのです。

ただし、手島氏は以下のようにも語っています。 「 ESDも SDGsも目指すところは全く同じです。目的はどちらも『持続可能な社会を実現すること』です。学校教育は, SDGsのことも視野に入れながらも,堂々と臆することなく ESDに取り組めばいいのです。」と。

手島氏の言葉の通り、ESDでも SDGsでも、持続可能な社会の実現に向けて必要な力を子どもたちが習得する支援をすることこそが、教育現場に求められている役割といえるでしょう。

まずはSDGsの知識を深めるところからはじめよう

現段階では、SDGsについて具体的に授業にまで落とし込めている学校はまだまだ少ないようです。

私の娘たちの学校でも、SDGsという存在は伝えられているものの、話し合ったり自分たちの目標につなげたりまでは導かれていないとのことでした。

とはいえ、SDGsに関するセミナーなどに参加すると、教育現場の方によくお会いします。教える立場である教師自身がまずはしっかり理解しようと積極的に情報収集されているのだと思います。また、学内にSDGsのポスターを掲出している学校もあるようです。

今後はますますSDGsを目にする機会が増え、学校でもより具体的にSDGsの目標や取り組み、理念等について理解を深める教育や指導が増えてくるのではないでしょうか。

私自身もSDGsに関する知識を深め、子どもたちとともに持続可能な社会の実現に向けてできることに尽力していきたいと思います。

-SDGs目標別, 目標4:質の高い教育をみんなに
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