Reported by
株式会社カケハシ スカイソリューションズ
企画開発部
中出 淑恵 さん
石川県白山市は平成30年6月15日に、SDGs達成に向けた優れた取り組みを提案した自治体として「SDGs未来都市」に選定されています。
本記事では、石川県白山市の「白山市 SDGs 未来都市計画」を参考に、なぜ白山市は「SDGs未来都市」に選定されたのか、SDGs達成に向けてどのような取り組みをおこなっているのかについてご紹介します。
石川県白山市はどのようなところ?立地や特産品など
まずは石川県白山市がどのようなところなのかについてお伝えします。
白山市は石川県の県庁所在地である金沢市の南西部に位置しています。白山市は平成17年、1市2町5村(松任市、美川町、鶴来町、河内村、吉野谷村、鳥越村、尾口村、白峰村)の合併により誕生しました。日本三名山の一つである「白山」のある市です。
美味しい食べ物も多く、中でもおすすめしたい特産品が「あんころ餅」。竹の皮で包装されており、見た目にも味があります。たっぷりのあんこに包まれたお餅は昔懐かしい素朴な味わいで、ついつい食べ過ぎてしまいます。
また、石川県内には20の高等教育機関があり、位10万人あたりの学校数は全国2位。そのうち白山市には、高い就職率を誇る金沢工業大学をはじめ4つの大学があり、近年新たな大学の開校1校も予定されており、教育に力を入れている市でもあります。
このように魅力のある白山市ですが、平成 17 年の合併以後、平野部(白山市都市部)の人口 は増加傾向にあるものの、山間部では2割以上の人口減となってます。また、平野部と山間部では、年少人口割合が平野部で 14.7%、山間部で 8.5%、老年人 口割合が平野部で 25.6%、山間部で 46.7%となっており、地域間の格差 が広がっています。(参照:平成 27 年国勢調査)
さらに山間部では、人口減少と高齢化による過疎化に伴い、自然環境が放置され、サルやイノ シシによる鳥獣被害が増加。その被害額は平成 29 年の 1 年間だけでみても 400 万円にものぼり、課題が山積みの状況です。
石川県白山市はなぜSDGs未来都市に選定されたのか?取り組みを紹介
まずは石川県白山市がどのようなところなのかについてお伝えします。
白山市が2018年から2020年にかけて取り組んだことは大きく3つあります。
白山市の取り組み
白山ソサイエティの創出
産学官民の共創
女性の社会進出の礎
1.白山ソサイエティの創出
「白山ソサイエティ」とは平成 30 年に完成した金沢工業大学の白山麓キャンパスを拠
点に新たに構築された生涯学習エリアです。大学や企業の協力を経て、教育最先端都市としてデータ活用スキルの高い人材を育成するとともに、さらなる企業の誘致をすすめることで地域経済の好循環を生み出し、過疎化が進んだ山間部の経済発展を目指しています。
2.産学官民の共創
白山市はIoT・BD・AI・ロボット技術に関する最新の情報や様々な社会課題解決に用いられるソリューションについて学習する機会を全市民に提供しています。そして企業が取り組むソリューションの創出に市民・学生が参画する「SDGsプロジェクト」を発足。健康寿命延伸や一次産業の生産性向上をテーマに企業・市民・学生が一丸となって地域の社会問題解決に取り組んでいます。
3.女性の社会進出の礎
石川県白山市は金沢工業大学と連携し、データ活用スキルの高い女性を育成するために、女性が学習しやすい環境整備に市をあげて尽力しています。自宅で子育て等によって社会への参画が難しい方、子供が育ち新たに社会参画を望んでいる方などを対象にSDGs に関する知識や、データ活用を推進する学習機会を継続的に提供することで、女性の社会進出促進に貢献しています。
地域の特性を活かしてSDGs達成に取り組む白山市
私は石川県の出身ですが、白山市ではなく県庁所在地である金沢市の出身です。隣接する市でありながら、今回白山市の取り組みを調べるまで白山市の課題感や、SDGs達成に向けた具体的な取り組みについては全く知りませんでした。
私にも子どもが2人います。社会進出したくとも、家事・育児に追われなかなか一歩が踏み出せない人もいるのではないかと思います。学習機会から提供し、社会で活躍できる人材に育てる白山市の取り組みはとても素晴らしい取り組みだと感じました。
2030年、理想の社会の実現に向けて、ひきつづき白山市の取り組みに注目していきたいと思います。