創業100年を迎えた箸メーカーの「コト」づくり

「お箸は食べ物です。」をポリシーに、安心・安全なお箸をつくり続けている福井県小浜のお箸メーカー株式会社兵左衛門。若狭塗箸で知られる小浜の漆塗り職人により大正10年に創業された100年企業です。「お箸知育教室」や「かっとばし!!プロジェクト」など、独自の視点から生まれたサステナブルな企画が注目されています。

今回、企画部の西村様にお話を伺いました。

西村あゆみ

株式会社兵左衛門企画部所属。2016年入社。大学でデザインを学び日本の伝統工芸品に興味を持つようになり、「かっとばし!!」などの企画を通じて兵左衛門を知る。入社のきっかけになった伝統を大切にする姿勢と、世の中を動かす企画力の両立を意識しながら、社内の商品デザインや新企画、広報に携わっている。

 

日本人にとって一番身近な食文化を、伝え残したい

「お箸は食べ物です。」をポリシーにお箸づくりを続け、2020年に創業100年を迎えました。全国の百貨店と、5店舗の直営店、またオンラインショップを通じて、日本の食生活に欠かせないお箸をお客様に届けています。

毎日口に入れて使うものだからこそ、お箸は100%安心できるものでなければいけません。ですが、実は他のお箸メーカーの中には、石油系塗料と漆を混ぜた合成塗料で仕上げることが多く見受けられます。その点、私たちは、口に入る箸先部分は美しい光沢を持ち、古くからこの国に伝わってきた防水・防腐性・抗菌性とを兼ね備えた100%天然漆を必ず使用して仕上げています。お箸の木地もすべて天然木を使用しています。

まだ手の小さなお子様から、お年を召してお箸を持ちづらい方向けまで、すべての年代、様々な境遇の方を対象にしたお箸づくりを続けています。

国際的に見ても、お箸は日本の食文化の顔。海外でもステイタスとして上手なお箸の使い方を身につけた方が増えている様です。反面、日本人にとってはあまりにも身近なものだからか、お箸の正しい使い方を知らなかったり、お箸の価値を知らなかったりする方もいらっしゃいます。そこで、私たちもいくつかの仕組みや企画を通じて、意外と知られていないお箸の文化や知識を届けています。

 

お箸からはじめる「コト」づくり

かっとばし!!プロジェクト」、「はしながおじさん」、「お箸知育教室」「箸感謝祭」などの名前を聞かれたことはあるでしょうか。これらは、お箸のことを皆さまにもっと知っていただくために企画した兵左衛門独自の取り組みです。

たとえば「かっとばし!!プロジェクト」は、野球で使われるバットを再利用してお箸をつくるというプロジェクトです。バットの原料として主に使われるアオダモという木がどんどん少なくなってきているという状況を知り、同じ木製品を扱うものとして何とかできないか、という気持ちから取り組みをスタートさせました。プロ野球や学生野球の活動を通して折れてしまったバットを回収し、破棄する代わりにお箸に生まれ変わらせる、そのお箸の売り上げの一部をアオダモ資源育成の会に寄付する、という取り組みを続けています。1年でおよそ2万本のバットが回収され、年間2000本ほどの植樹ができるよう寄付をおこなっています。

また、「はしながおじさん」は、東京の箸専門店株式会社B ate様、また岡山県のトータルデザインセンター様とともに進めているプロジェクトです。「はしながおじさん対象商品」のお箸一膳のご購入につき、児童養護施設で生活するこどもたちに、新しいお箸を一膳プレゼントする、という企画。日本全国には600ほどの児童養護施設があり、そこで生活するこどもたちの多くはサイズが合わなくなったり、塗料が剥げたりした古いお箸を使い続けています。このプロジェクトを通して、自分の手に合ったサイズの新しいお箸を手にするこどもたちの笑顔が生まれれば、という想いで続けています。

 

お箸を通じて広がっていくご縁

「かっとばし!!プロジェクト」は日本と同じく野球がメジャースポーツであるアメリカでも注目され、ニューヨークタイムズに記事が掲載されたり、CNNで動画が放映されたり、広く取り上げていただきました。

小学校や企業向けにお箸マナーを伝える「お箸知育教室」は1998年にスタートしましたが、これまでに累計14万9000名の方が受講されました。

また、取り組みを通じて私たちのことを知った百貨店の方に「プロジェクトに協力させてほしい」とお声がけいただくことも出てきました。

このように私たちの取り組みが認知を得て、お箸を通じて世の中が明るくなっていくのはとても嬉しいことです。こうした取り組みをきっかけに、私たちの想いにも気づいていただきたい。たとえば折れたバットからつくったお箸を購入されたお客様に、その購買行動が環境保全につながることを伝えられたら。そんな想いを今後より多くの方に届けるために、またお子さま向けにもわかりやすく、様々な境遇の方にも伝わる様、広報の手法も工夫していかなければいけません。

 

【SDGs推進委員会からの質問】

今後、企業が取り組むSDGsって、どんなことをしたらいいのでしょう?

企業がサステナブルな取り組みを始めるとき、会社の事業とは関係なくボランティア的な関わり方を選んでしまうことがあります。それもすばらしいと思いますが、企業の活動としてより長続きさせるためには、取引先やお客様に関わっていただける仕組みを設計し、事業として成り立たせることが一つのポイントだと考えています。

そのためにも、日々頭を使って考えていくことが大切になります。具体的に言えば世の中の動きに敏感になり、見たり聞いたり、考えたりをやめないこと。些細なことでも、世の中の問題に対して会社としてどう関われるのか、何か取り組めることがないか、を社員同士で話し合うこと。

事業として様々な方々と関わりを持ち、長期間続けられるプロジェクトになれば、社会から何かしらの反応もいただけるようになります。私たちの会社でも取り組みへの反応を受けて、メンバーそれぞれが自発的に次の一歩を考える様になってきた様に思います。

 

届けたいメッセージはありますか?

お箸のお話ばかりしてしまいましたが、兵左衛門の商品はお箸だけではありません。他にもスプーンやお椀など天然木を使った食器類や、折れたバットから削り出した靴べらなど様々な商品があります。お近くの百貨店、または直営店にぜひ一度足をお運びいただき、実際に手に取っていただければ。また、オンラインストアやfacebook、Instagramなど、オンラインでの発信もご覧いただけると嬉しいです。

 

株式会社兵左衛門
www.hyozaemon.co.jp/

TEL:03-5822-0840
住所:〒917-0107
福井県小浜市甲ヶ崎31

オンラインストア
facebook/Instagram

今回お話を伺った「株式会社兵左衛門」様は、"企業のSDGs取り組みを支援する"一般社団法人 日本ノハム協会の、メンバーシップ企業です。

 

-目標12:つくる責任 つかう責任, 目標13:気候変動に具体的な対策を, 目標15:陸の豊かさも守ろう, 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう, 目標4:質の高い教育をみんなに, 目標8:働きがいも経済成長も
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